Photo walk コース紹介#1 「階段迷路」中台コース

「ND2 studio」では、スタジオがある東京・板橋区中台を拠点にフォトウォークを開催しています。ND2のプロカメラマンが、起伏に富んだ独特の地形に広がるストリート・スナップのポイントをご案内します。

内村コースケ:ND2 Photographer)



「中台コース」「上板橋コース」「西台コース」の3コースを設定しています。この「中台コース」は、谷戸地形の住宅地を縫う階段と路地、斜面にある公園を巡る全行程1時間30分〜2時間のコースです。



人間には108の煩悩が備わっていると言われるが、これを払うために除夜の鐘は108回撞くのが正式だ。お寺の階段も、一段ずつ煩悩を払いながら登るために108段に設定されているものが多い。貪(とん=むさぼり)・瞋(じん=怒り)・痴(ち=愚かな事)の3つが煩悩のもとである。悟りを開くには、表面的な108の煩悩と共に、究極的にこの3つを捨て去らねばならない。


ND2スタジオがある板橋区中台は、小高い丘が連なる「谷戸地形」の一角にある。中台エリアと若木エリアとの境界を通る「若木通り」が尾根を形成する“山”になっているのだが、その「中台の山」の中にも細かな起伏があり、すり鉢状の谷を形成してさながら立体的な迷路になっている。宅地化されている現代の中台は、急斜面は階段になっていて、大小の階段でつながる路地が多く見られる。広島県の尾道や台湾の頭城鎮が「階段の路地」の風情で観光地化しているが、日常の中に非日常や心象風景を見つけられるスナップシューターならば、この中台がそれらに匹敵するフォトジェニックな町であることは、少し歩けば分かるだろう。


ちなみに、上の写真は、中台の山の西南の斜面にある大階段だ。ここを、每日5往復する地元の老人がいる。「タダだし、いい運動になるよ」と言うその老人によれば、この階段はちょうど108段あるそうだ。每日5往復もしていれば、その老人の煩悩はすっかり払われているはずだが、正確な段数はいかに。気になる人は実際に登って確かめてほしい。




三次元を二次元に変換する写真表現において、三次元的な立体的な構図は魅力的だ。尾道や頭城鎮がスナップシューターに人気なのも、そのためだろう。中台の町を歩いたあるカメラマンの口からは、「イタリアの城塞都市」という言葉が出た。私(内村コースケ)は、20代の頃に歩いたポルトガルのオビドスを思い出す。やはり城壁に囲まれた立体的な町で、「中世の箱庭」とも呼ばれる。


そう、中台を階段と斜面に囲まれた一つのすり鉢状の渓谷がある「山」として捉えると、「箱庭」という表現がしっくり来る。僕は、写真を撮ることを人生の中心に据えているが、その3D版と言えるプラモデルのジオラマも大好きだ。「箱庭」を愛でるという点で、街歩きスナップとジオラマや鉄道模型のレイアウト、盆栽作りなどには共通点がある。そして、ジオラマや鉄道模型のレイアウトを眺めていると、その箱庭世界に入ってみたくなる。箱庭の中を歩いてディティールを拾う中台ウォークは、そんな夢の世界に近いかもしれない。





もちろん、ストリート・スナップの真髄は撮影する「場所」そのものにあるのではなく、写真を通じてそこに投影される撮影者の「心」にある。階段の迷路の空気感を感じながら、ディティールに目をやり、心を込めてシャッターを切る。そんなフォトウォークのお手伝いができればと思う。








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